1年で生涯を終わったマルチーズの「マー」 (2003/7/11)
10年ほど前、自分がまだ、ペットショップに勤務していた頃、あるお客さんにマルチーズを買っていただいたのですが、体調を崩したのと、あたり構わずオシッコをしてしまうということで、引き取りました。
それで、獣医さんで診てもらったところ、腸炎を引き起こしており、また「異所性尿管」だと分かりました。
異所性尿管という病気は、普通は膀胱へ繋がっているはずの尿管が膀胱を通らずに直接、排尿してしまう先天性の病気のことです。
つまり、本人(犬)が、オシッコをしたいと思うことなく、勝手に垂れ流しの状態です。
通常は外科的に、手術で尿管を膀胱につないでやれば問題ないのですが、マルチーズの子犬でしたので、小さすぎて、最低でも6ヵ月以上経って、大人の大きさになるまでは、手術も出来ないという診断でした。
そのため、治してあげるためには、6ヶ月間、オシッコは垂れ流しで、また、オシッコが皮膚につたって、ただれた状態になってしまうので、常に抗生物質の投与が必要で、長期間にわたっての抗生物質の投与は、耐性が出来てしまうので、薬の種類を変えていかなければいけないということでした
安楽死させると言う意見もありましたが、反対にいえば、手間さえかけてあげれば、手術が済めば普通の生活を送れるということでしたので、自分が引き取ることにしました。
それからは、家の中はオシッコだらけで、抗生物質が利かなくなってくると、股間が酷くただれて、マーの苦痛もかなり酷くなっていましたが、効果のある抗生物質を見つけだして、しばらくすれば、また、調子よく過ごして、ということの繰り返しで、想像以上に大変でしたが、何とか6ヶ月経って、獣医さんに手術をお願いしました。
しかし、先天性の異常がある子なので、その時点でも体重は2㎏もなかったために、獣医さんの診立ては、手術は難しく、成功の可能性はとても低いということでした。
それでも、思い切って手術をしなければ、ゆくゆくは、どうしようもない状態になってしまうのは分かっていたのですが、自分は、その決断が出来ずに、そのまま過ごしていました。
やはり、というか、ついに、どんな抗生物質を使っても効果がなくなってしまい、マーの苦痛もとても大きくなってきて、安楽死させるか一か八かで手術するか、という状態にまでなってしまったので、手術に踏み切りました。
結果は、尿管の接続自体は、大きさの割りに肉厚がしっかりしていたので、スムースに出来たらしいのですが、身体中の臓器に尿の毒素が廻っていたために、手術が済むまでの体力がなく、そのまま、死んでしまいました。
それでもトータルすると、6ヶ月くらいは元気で調子よく、マー元来の、明るく、積極的な性格そのままに楽しく過ごすことが出来ていましたが、結局は、自分が、一番大切な場面で正しい決断が出来なかったために、マーは報われることのない大きな苦痛のあと死んでしまいました。
最後の手術で、マーを獣医さんに渡すとき、苦痛に耐えながらも、震えながら助けを求めるような目で自分を見つめていたのが、マーの最後の姿でした。
今、思うのは、最初に、お客さんから引き取った時点で安楽死させていれば、苦痛を知らずに済んだということと、何度も苦痛を経験したあと、体調の良かった生後8ヶ月くらいのときに思い切って手術をしてやっていれば、今でも元気にいられたのかな、ということです。
人間は、自分の人生を自分の判断で決めることが出来ますが、犬や猫は、飼い主さんの判断で、どんな一生を送るかが決まります。
責任は重大です。
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