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しつけについて ⑥ 褒めるしつけ (2007/3/28)

 最近、しつけの方法として、"褒めるしつけ"が主流になっています。
飼い主さんも抵抗なく取り組みやすく、ワンちゃんも楽しみながら色々なことを覚えていけるので、実際に効果もあり、しつけ教室などでも、かなり好評のようで、これからの主流になっていく、しつけの方法だと思っています。
 特に、色々な芸などを教えるのには、最も効果的で、遊びの一環として、またゲームとして楽しむことは、コミュニケーションとしても、とても良いことだと思います。

 ただ、 繰り返し練習して覚えた上で、更に繰り返し練習していくのは、調教です。それが悪いことだとは思いませんが、しつけではありません。
 また、その方法で、しつけられた子は、図にのっている子が多いのと、自分で考えて行動できないことも多いように感じます。

 人間の子供の場合で、道路に飛び出すのは危ない、ということを教えるのに、道路に飛び出さなければ、嬉しいことがある、または、ご褒美をもらえるという方法で教える人はいません。単純に 『飛び出してはいけない』ということを言い聞かせます。

 例えば、来客時のピンポンに過剰に吠える子の場合で言えば、怖くないということ、そんなに頑張って家を守ろうとしなくても良いということ、また、アピールしなくても良い、アピールしても望む結果にはならないということを理解することが解決につながります。
 ピンポンのあと、嬉しいことがあるというだけでは、進歩はありません。

 ご褒美を期待して行動するのではなく、自分で、事の良し悪しを考えて行動できるようになるには、ワンちゃんのご機嫌を伺って楽しいことばかりを与えているだけではなく、嫌なこと、我慢すること、不快なことを経験させることも必要です。
 人間の子供に、おだてて褒めるだけでなく、叱ることも必要なのと同じことです。

 人間の子供は、いつかは自立しますが、犬は、最後まで飼い主さんの管理下で過ごすことを考えると、飼い主さんが上手く扱えればそれで良いのかもしれませんが、犬を、単に犬として扱うような接し方ではなく、パートナーとして考えても、充分にそれに応えてくれるだけの性能を持っています。
その部分こそが犬の最大の魅力だと思います。

 また、問題行動を治すのに、トレーニングが必要だと考える前に、まずは、毎日の散歩や遊ぶ時間、一緒に過ごす時間を十分に取れているか、食事や、生活環境は整っているか、下等動物として扱っていないかなどを考えてみてください。
 それだけで治るとは言い切れませんが、トレーニングがどうこう言う以前に、まず必要なことです。

 「褒めるしつけ」、とても良い方法だと思いますが、「甘やかすしつけ」、「おだてるしつけ」、「叱らないしつけ」ではありません。
また、それだけが全てではありません。

 家庭犬として過ごしていくのに必要なのは、調教ではなく、"しつけ"です。

 

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